📋 目次
ミルクティー・チャイ・ロイヤルミルクティー——3種の違いを徹底比較
同じ「紅茶+ミルク」でも、その発祥・製法・文化的背景は全く異なる。
英国式ミルクティー
階級社会の象徴でもあった一杯。「MIF vs MIA」論争は今も続く。
チャイ(マサラチャイ)
植民地支配への抵抗から生まれた、スパイスと知恵の結晶。
ロイヤルミルクティー
実は和製英語。英国には存在しない、日本が生んだ「発明」。
英国式ミルクティーの歴史
紅茶にミルクを加えるという習慣は、17〜18世紀のイギリスで定着した。一説には、当時の繊細な陶磁器のティーカップが熱い紅茶で割れるのを防ぐために、先に冷たいミルクを注いだのが始まりとも言われている。この習慣はやがて英国社会の階級を象徴する文化的な論争へと発展する。それが有名な「MIF(Milk In First:ミルクが先) vs. MIA(Milk In After:紅茶が先)」論争だ。
「紅茶をカップに入れた後でミルクを注げば、好みの分量や味を調整できる」— ジョージ・オーウェル『一杯のおいしい紅茶』(1946年)
2003年、英国王立化学協会がついに科学的な結論を出した。75℃以上の高温の紅茶に冷たい牛乳を注ぐと、牛乳のタンパク質が変性し風味を損なう可能性があるため、「ミルクを先に注ぐ(MIF)」方が科学的には合理的であるというものだ。しかし2018年の調査では、英国人の約8割が依然として「紅茶を後に注ぐ(MIA)」を好むという結果が出ており、この論争は今も文化的な嗜好の問題として語り継がれている。
チャイ(マサラチャイ)の歴史
インドの国民的飲料であるチャイ、特にスパイスを加えた「マサラチャイ」は、その起源を19世紀のイギリス植民地時代に遡る。当時、インドのアッサム地方で生産される良質な紅茶はそのほとんどがイギリス本国へ輸出され、インド国内で消費されるのは質の低い、苦味や渋みの強い茶葉だった。この飲みにくい紅茶をどうにか美味しく飲もうという生活の知恵から、人々は茶葉をスパイスと共に煮出し、たっぷりのミルクと砂糖を加えてその風味を和らげる方法を編み出した。これがマサラチャイの原型だ。
| 項目 | 🇬🇧 英国式ミルクティー | 🇯🇵 ロイヤルミルクティー | 🇮🇳 チャイ(マサラチャイ) |
|---|---|---|---|
| 発祥地 | イギリス | 日本(1965年・京都) | インド(19世紀) |
| 主な製法 | 蒸らした紅茶にミルクを加える | 茶葉を水から煮出し、ミルクを加える | 茶葉とスパイスを水やミルクで煮出す |
| スパイス | なし | なし(基本) | あり(必須) |
| 甘さ | 好みで調整 | 砂糖なしでも飲める設計 | 強い甘みが特徴 |
| ミルク比率 | 少なめ(1/4〜1/3) | 多い(約1/2) | 多い(約1/2) |
| 味わい | 紅茶本来の香りや渋みを楽しむ | 濃厚でクリーミー、まろやか | スパイシーで甘く、刺激的 |
| 最適な茶葉 | ダージリン、セイロン等 | アッサム+ディンブラ(特許推奨) | アッサムCTC等、細かい茶葉 |
| 英語での呼称 | Milk Tea / Tea with Milk | Royal Milk Tea(和製英語) | Masala Chai / Chai |
ファクトチェック:「ロイヤルミルクティーは日本発祥」は本当か?
一次資料を徹底調査した結果、「日本発祥」は正しいが、発祥は「二重構造」だった。
発祥の「二重構造」を整理する
| 項目 | 発祥 | 年代 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 名称「ロイヤルミルクティー」 | 京都・リプトン・ティーハウス(福永兵蔵氏) | 1965年頃 | リプトン・ティーハウス公式サイト、PR TIMESプレスリリース |
| 煮込み式製法 | 大阪・ロンドンティールーム(金川氏) | 1983年頃 | 公式サイト、特許第7303589号(2023年登録) |
専門家コメント:「ロイヤルミルクティー」という名称は、英国への憧れを持つ日本人が「royal(王室の)」という言葉に高級感を見出して作った和製英語です。英国では単に「milk tea」または「tea with milk」と呼ばれます。この背景を知ることで、一杯のロイヤルミルクティーが持つ「日本的な英国への憧れ」という文化的な物語をより深く味わえます。
特許第7303589号が明かす「えぐ味ゼロ」の科学
2023年6月27日登録。大阪・ロンドンティールームが取得した、煮込み式ロイヤルミルクティーの製造方法特許。
✦ 特許の核心:「煮込む」ことではなく「えぐ味を出さずに煮込む」こと
この特許が保護しているのは「紅茶を煮込む」という行為そのものではない。それはチャイが何百年も前から行ってきたことだ。特許の本質は、「えぐ味を出さずに煮込む」という技術的課題の解決方法にある。特許庁の審査官がチャイとは異なる「目的」と「技術的工夫」を認めた点が重要だ。
製造工程の5ステップ(特許明細書より)
特許推奨の茶葉ブレンド比率
| 茶葉の種類 | 推奨比率(アッサム1に対して) | 備考 |
|---|---|---|
| アッサム産 | 1(基準) | 必須。ボディとコクの主役 |
| スリランカ産ミディアムグロウン | 0.3〜2.2 | ディンブラ・ディコヤが最推奨。サラトナ取扱い |
| アフリカ産(ケニア・マラウイ) | 0.3〜2.2 | スリランカ産の代替として可 |
| ウバ(使用不可) | — | 明細書【0029】で明確に除外。煮込むとえぐ味が増幅 |
チャイとロイヤルミルクティーの本質的な違い
「スパイスなしのチャイ」と「煮込み式ロイヤルミルクティー」の本質的な違いは、使う茶葉の品質と選択にあります。チャイは伝統的に、輸出後に残った細かい茶葉(CTC等)を甘さとスパイスで補う飲み物です。一方、ロンドンティールームが目指したのは、良質なアッサム・セイロンブレンドを煮込んでも「えぐ味が出ない」状態にすること。この違いこそが、ASHBYSやサラトナのような高品質な茶葉を扱う専門家が提供できる「本物のロイヤルミルクティー」の価値を裏付けています。
本格レシピ集:6種のミルクティーを自宅で再現
英国式・ロイヤル・マサラチャイ・ダージリン・ウバ・ヌワラエリア——それぞれの個性を引き出す製法を解説。
ミルクティーを彩るスパイス&フルーツ図鑑
科学的な健康効果と風味の特徴、最適な使用量まで——8種のスパイスを徹底解説。

カルダモン
インド・グアテマラシナモン
スリランカ・中国ジンジャー(生姜)
インド・中国・ジャマイカクローブ
インドネシア・マダガスカルナツメグ
インドネシア・グレナダターメリック(ウコン)
インド・東南アジアバニラ
マダガスカル・タヒチスターアニス(八角)
中国・ベトナムフルーツ × 紅茶産地ペアリング表
| 紅茶の産地・ブランド | 相性の良いフルーツ | ペアリングの理由 |
|---|---|---|
| ダージリン(ASHBYS・サラトナ) | ピーチ・マンゴー・アプリコット・ライチ | マスカットのような香りとフルーツの甘みが共鳴 |
| アッサム(サラトナ) | ストロベリー・ラズベリー・プラム | 力強いボディがベリー系の酸味を受け止める |
| ウバ(サラトナ) | りんご・洋梨・クランベリー | メントール香とフルーツの清涼感が調和 |
| ヌワラエリア(サラトナ) | レモン・ライム・グレープフルーツ | 緑茶に似た清涼感と柑橘の爽やかさが一致 |
| アールグレイ(ASHBYS) | ストロベリー・ブルーベリー・オレンジ | ベルガモットとベリー系の香りが重なり合う |
ミルクティーとケーキの科学的ペアリング
「なぜミルクティーとケーキの相性は難しいのか」——タンニンと油脂の三角関係を科学的に解説。
🔬 ペアリングの科学:タンニン × ミルク × 油脂の三角関係
紅茶のタンニン(渋み成分)は、ケーキの油脂を「洗い流す」役割を果たす。しかしミルクティーにすると、タンニンがミルクのカゼインタンパク質と結びついて渋みが中和される。その結果、油脂を洗い流す力が弱まり、重いケーキと合わせると「もたれる」感覚が生じる。
これがミルクティーとケーキのペアリングが難しい理由だ。解決策は2つ——①タンニンが強い茶葉(ウバ・アッサム)を選ぶか、②油脂の少ない軽やかなケーキを選ぶか。あるいは「ケーキに合わせてミルクティーを選ぶ」という逆転の発想も有効だ。

産地別ミルクティーとケーキのペアリング
ダージリン(ASHBYS・サラトナ)
- • シフォンケーキ
- • フルーツタルト
- • マカロン
- • レモンケーキ
- • バタークッキー(油脂が多すぎる)
- • チョコレートケーキ(香りが競合)
ウバ(サラトナ)
- • スコーン+クロテッドクリーム
- • ベイクドチーズケーキ
- • バタークッキー
- • ショートブレッド
- • レアチーズケーキ(酸味が競合)
- • フルーツムース(軽すぎる)
ヌワラエリア(サラトナ)
- • レモンケーキ
- • レアチーズケーキ
- • フルーツムース
- • パンナコッタ
- • チョコレートケーキ(重すぎる)
- • バタークッキー(油脂が多い)
英国式ミルクティー(アッサム・セイロン)
- • スコーン
- • ヴィクトリアスポンジケーキ
- • ショートブレッド
- • フルーツケーキ
- • 極端に甘いケーキ(甘みが重なる)
マサラチャイ
- • カルダモンクッキー
- • ジンジャーブレッド
- • ナツメグのパウンドケーキ
- • バクラヴァ
- • 繊細なフルーツタルト(スパイスが勝つ)
- • レアチーズケーキ(酸味が競合)
ペアリング逆引き辞典:ケーキからミルクティーを選ぶ
| ケーキ・クッキーの種類 | 最適なミルクティー | 理由 |
|---|---|---|
| ショートケーキ | ダージリン(ASHBYS) | 繊細な香りが苺の甘酸っぱさと共鳴 |
| チョコレートケーキ | アッサムミルクティー(サラトナ) | 力強いボディがチョコの苦みを包む |
| ベイクドチーズケーキ | ウバミルクティー(サラトナ) | 渋みが濃厚な油脂をすっきり洗い流す |
| シフォンケーキ | ダージリン or ヌワラエリア | 軽やかな食感に繊細な香りが寄り添う |
| パウンドケーキ | アッサム or ウバ(サラトナ) | バターの油脂をタンニンが中和する |
| バタークッキー | ウバミルクティー(サラトナ) | 強い渋みがバターの油脂を受け止める |
| スコーン | 英国式ミルクティー(アッサム) | 伝統的なアフタヌーンティーの組み合わせ |
| レモンタルト | ヌワラエリア(サラトナ) | 柑橘の酸味と清涼感が調和 |
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1898年ロンドン創業。英国王室御用達の老舗紅茶ブランド。日本では快斗氏が輸入・加工・販売を手がけ、本場の味をそのままお届けしています。
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FIRST FLUSH紅茶のシャンパンと呼ばれる最高級品。マスカットのような華やかな香りが特徴。ミルクは少量で繊細な香りを活かすのがコツ。
ウバ
HIGH GROWNスリランカ・ハイグロウン産。力強いメントール香と渋みが特徴。ミルクティーにすると深いコクが生まれる。
ヌワラエリア
HIGHEST GROWNスリランカ最高地産。緑茶に似た清涼感と繊細な花の香り。ミルクは少量で清涼感を活かすのが正解。
アールグレイ
FLAVOUREDベルガモットオイルで着香した英国の定番フレーバーティー。ミルクティーにすると柑橘の香りが際立つ。
ピーチ&マリーゴールド
FLAVOURED桃の甘い香りとマリーゴールドの花が調和した華やかなフレーバーティー。ミルクティーにすると桃のミルクのような風味に。
バニラ
FLAVOUREDマダガスカル産バニラの甘く官能的な香り。ロイヤルミルクティーにすると砂糖なしでも十分な甘みを感じられる。
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